ブログ 回るメロンパン

ラノベの感想とか(予定)

『終末の魔女ですけどお兄ちゃんに二回も恋をするのはおかしいですか?』 妹尾尻尾 ダッシュエックス文庫

 ダッシュエックス文庫の『終末の魔女ですけどお兄ちゃんに二回も恋をするのはおかしいですか?』読みました。

終末の魔女ですけどお兄ちゃんに二回も恋をするのはおかしいですか? (ダッシュエックス文庫)

 

《あらすじ》ダッシュエックス文庫公式サイトから

 魔力枯渇の禁断症状。それは――「肉体接触」!? 絶頂のエロティックアクション開幕!!

「大きくなったら、私をお嫁さんにしてね、昴お兄ちゃん」 昴は人類最強の歩兵としてかつて従軍していたが、いろいろあって今はふつうの男子高校生。ある日、四女・紅葉が魔力が枯渇して禁断症状――【欲情】の出た状態で昴のもとへ降ってきた。魔力の供給方法は、供給源の昴との肌と肌での肉体接触…というか、撫でたり揉んだり摘まんだりすることで…。「これは医療行為、これは医療行為、これは医療……」あの日交わした妹との”約束”を果たすため、人類の敵と己の理性に力の限り立ち向かう! 限界ぎりぎりエロティックアクション! 第5回集英社ライトノベル新人賞《特別賞》受賞作!!

 

 風邪でのどを痛めてしまい、動画の収録ができないので記事だけ上げます。治ったら収録するかはわかりません。

 

 あらすじだとエロ要素をプッシュしているんですけど、実際はかなりシリアスなバトルもので、アクションも多くて、そこがすごくおもしろかったです。

 話は、まず、界獣っていう化け物が現れるせいで世界がやばいことになっています。でも魔女って呼ばれるすごく強い特殊な能力を持った女の子たちがいて、そのおかげでなんとか戦えているっていう世界設定です。表紙の主人公の妹も魔女です。で、主人公はかつて人類最強の歩兵って言われていて、すごく強いんですけど、従軍中に起きたあることのせいで軍に絶望して、妹たちのところから逃げ出していまは普通の高校生をやっています。あるとき妹と再会するんですけど、軍の何かの実験のせいで記憶をなくしていて、妹はそこから逃げだしていたところだったんです。で、主人公はその妹を守って逃げながら、記憶を戻すためにある場所へ向かうっていう感じです。

 

 アクションシーンは文章が上手いというか、文章量は多いと思うんですけどスピード感があって、どんどんページを捲っていってしまう感じでした。それから世界設定が思ったよりハードで、たとえば、魔女は人間としてじゃなくて兵器としてしか扱われてなくて、人体実験の素材にされたりしてるんですけど、それも人類が生き残るためって容認されている、とか。怪獣に襲われていること以外もかなり厳しい世界でした。あと舞台は2030年なんですけど、1944年に界獣が現れたっていう設定で、日本のことを帝国って言っていたりするので、ちょっと架空の歴史を扱ったSFみたいな世界設定になっていて、それも興味深かったです。

 

 エロ要素のほうはまああらすじの印象ほど多くはないんですけど、内容は濃かったです。けっこう攻めた感じの描写をしてました。魔女は魔力が枯渇すると発情するっていう設定があって、魔力を補給するには人と肌の紋章を接触させなければいけないんです。で、粘膜同士の接触が最も効率がよくて、魔力を供給するのもされるの快感を伴う、などの設定によってエロいシーンがある必然性が作られています。

 でも、それだけではなく、妹と主人公の関係の変化を描く意味もあるんだと思います。過去の主人公が逃げ出す前と、成長した妹が記憶喪失になった後、記憶を取り戻した後、とかで、同じ魔力補給っていう行為でもそれぞれ別の思いが裏側にあるように書かれています。単なる箸休め的なエロじゃなくて、それぞれ違う意味を持って繰り返されているっていうのがおもしろいと思いました。同時に、この作品の厳しい世界の中で数少ない、やさしさとか兄弟の絆とか愛情みたいなものが描かれているシーンでもあるので、胸に刺さる場面でもあります。

 あと、表紙でわかると思うんですけど、妹が巨乳なので。本文で「サッカーボールみたいな」っていう形容詞が付くくらい。まあ、おっぱいが好きな人ならそのシーン目当てで買ってもいいと思います。たぶん。

 

 それと秋山瑞人さんのファン、とくに「イリヤの空、UFOの夏」が好きな人は絶対に読んだほうがいいと思います。いろんなところにオマージュがちりばめてありますし、たぶん文章も意識して書かれていると思うんですけど、かなり近い雰囲気があります。もし違ったらすごく失礼なことを言ってますけど、明らかにそうだと思うので。

 もちろん知らない方でも楽しく読めると思うのでぜひ読んでみてください。現在2巻まで出ています。おすすめです。